一般社団法人 日本車椅子シーティング協会
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代表理事あいさつ

ご挨拶

一般社団法人 日本車椅子シーティング協会
       代 表 理 事  川 村  慶

 

我が国には、さまざまな問題が起きた際に「対処」で済ませ、根本的な「問題解決」ができない風土がまだまだあるといえます。
それは、私たちが関わる医療や福祉の世界においてもそうです。例えば、「寝かせきりゼロ」を実現すれば、医療や介護、福祉のコストはかなり削減できると思いませんか。ところが実際に行われているのは、医療費や福祉に対する給付金などをやみくもに削減し、それによって本当に医療や福祉を必要とする人が必要な補助を受けられない状況をつくっているのです。そのためにかえって、「寝かせきり」が増え、医療や介護、福祉のコストはむしろあがることも考えられるのです。

 

では、「寝かせきりゼロ」にするには、どうしたらいいのでしょうか。それには、まず、寝ている生活から、イスや車椅子に座ってもらうこと。それも、「座らせきり」ではなく座ることで何かをし、生活していくように勧めていく。そうすることで、多くの方が寝たきりから解放され、生活の質の向上もはかられるのではないでしょうか。
同時に、この「座ってもらう」ということを補助する車椅子や“座らせる”技術である「シーティング」を世の中にもっと広めることが必要なのではないでしょうか。
車椅子や姿勢保持装置をはじめとした道具は「ある」だけでは意味がありません。やはり使い手に合ったもの、使いこなしてもらえるものが求められます。
私たち日本車椅子シーティング協会では、道具・用具の製作に携わる者として、もっと欲を言わせていただければ、「もっと使いたい」「それを使うことで生活への意欲がわく」と使い手にそう思っていただけるもの作ることこそ目指すべきところであります。

 

「ものづくり」は「者づくり(人づくり)」とも不可欠に関係してくるというのが実感です。協会ではこれまでもシーティング技術の普及と更なる技術向上を目的に数多くの講習会を開いてまいりましたが、2010年からは「シーティングエンジニア」の資格認定をおこなうようになりました。認定者の数は2016年9月現在224名に上ります。人々の生活の向上の手助けとなる、「寝たきりゼロ」のお役にたてるためにも、いっそうのシーティング技術の 底上げと次代を担う人材の養成は当面の最重要課題です。

 

「ものづくり」をもって社会貢献をおこなっていく――そのことこそが当協会の最大の使命です。